酔いどれ広報マン中国をゆく

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2016年 03月 28日

中国の危機管理広報

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 個人的には、今年は改めて315が注目の話題だということを感じましたが、やはりその話題の延長線で出てくるのは「315に取り上げられていたら、どうすればよかったのか」という話であり、ひいては「中国における危機管理広報」とはどのようにあるべきか、何を準備するべきか、ということだと思います。簡単に事前と事後、つまり「準備」と、起きてしまった場合の「対処」について簡単にまとめたいと思います。

 危機管理全般において、重要なことは「誰が」「何を」「どうやって」というポイントです。「準備」の段階では、これらについて、組織の中で共通認識を持っておくことが大事です。例えば「誰が」については、責任者とスポークスパーソンの選定などがポイントとなります。多くの大企業では、どのような形で「危機管理委員会」のような組織を社内で立ち上げ、誰が責任者となるか、誰がスポークスパーソンとなるか、まで決め込んだマニュアルを作成していることが多いように思います。ただし一方で、日本側ではそのようなマニュアルやルール整備がなされていても、海外では同じことが準備できていない、という状況がよく見受けられます。ここで問題になるのは、様々な判断を、現地で行うのか本社の判断で行うのか、どのレベルの判断まで現地に委ねるのか、といった決めの問題です。これらは「その時」では手遅れですから、事前にしっかり準備しておく必要があります。

 「メッセージ」については、事前に準備できることは多くはありません。出来ることは、過去のケースを調べ、どのような場合にどのようなメッセージを出したか、それがどのように影響したか、を学ぶことだと思います。ことに中国においては、政府との関係性において、少しメッセージの出し方が変わってくるものと思います。端的にポイントを挙げるなら、政府とコトを構えるようなコトをしないことです。例えば自社製品が「検査で不合格になった」場合に、論理を積み重ねて正当性を訴えるようなメッセージを出すことは危険です。まずは消費者や取引先に「混乱をきたしたこと」についてお詫びのメッセージを出し、政府や監督官庁とは直接やりとりをするべきです。その際には「なぜ出ないはずの不合格が出たのか」業界の背景までよく思考を巡らせ、政府のメッセージを読み解くことも重要です。また、メディアトレーニングと言って、スポークスパーソンとなり得る方を、メディアの前に立たせる想定で、カメラの前で実際にインタビューに答えるような、模擬演習を行うトレーニングも一般的です。

 最後に「どうやって」については、準備段階でできることは、どのような手段があるか確認することです。日本の場合は「お詫び会見」が重要なポイントとなり、お詫びをしてからでないと始まらないところがありますが、中国の場合は全く違います。基本的にはお詫び会見のような正式な会見を行うことは極めて稀です。声明文をメディアに向けて発表する、HPや最近ではSNSでそれを発信する、ニュースリリースを発信する、メディアを集めた説明会を行う、などの方法がありますが、いずれも日本のそれよりも消極策がとられることが多いように思います。このように、日本と中国では色々とその方法論に違いがあり、注意が必要です。

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by hf0424 | 2016-03-28 06:24 | Work
2016年 03月 16日

2016年 CCTV「315晩会」速報

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 今年も「CCTV 315晩会」が放映されました。昨年は全人代との関係でイレギュラーな放送時間でしたが、今回はいつも通り20時からのオンエアでした。結果としては、今年の内容は日系企業及び外資企業を取り上げる内容は無く、大方の予想通りの内容が報道される結果となりました。その内容は、デリバリーアプリ「饿了么」における店舗情報の偽装、中古車ネット販売「車易拍」における価格差の問題、入れ歯インプラントの違法金属使用、「道有道科科技公司」による違法なネット課金、「盛世網賺創業」のサイト口コミの偽装の五つの特集で構成されていました。「今年はECと自動車が危ない」と言われていましたので、珍しく?予想通りの結果に落ち着いた気がします。

 今回も複数の会社さんが直前になって「独自に入手した情報で、どうやらウチが出る可能性が高いらしい」という相談を持ち込んでいらっしゃいました。もちろん、クライアント企業にとっては一大事であり、慌てる気持ちはよく理解できるのですが、我々からすると、過去にもう少し深刻度が高い場合を経験しているので、そう言ったタレコミ?の類については、惑わされ過ぎないように注意することが重要だと考えています。場合によっては、その問題解決のためにお金を要求されたり、広告出稿を要求されるケースもあるからです。

 冒頭で「予想通りだった」と書きましたが、予想はほとんど意味を成しません。得てして予想は外れることが多いです。あえて予想ができることといえば、やはり日中関係が良好ではない時、または中国が国内問題に揺れている(国内から国民の目を逸らしたい)時などは、そのリスクは高まるものと考えています。しかしそれよりも、平素から有事の際にどのような体制をとるのか、意思決定者は誰なのか、基礎的な対応手段は何を行うのか、を準備することが大事です。315は日本企業にとっては、ある種「防災の日」のように、危機管理意識を高め、対応訓練を行うと言えるのかもしれません。何も起きなかったから言えることではありますが(苦笑)

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by hf0424 | 2016-03-16 10:58 | Media
2016年 03月 12日

定番の凄み:クロケット&ジョーンズ「CAVENDISH」

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 週末ネタということで、靴ネタ行きます。本日は、そのコストパフォーマンスの高さにより、長く紳士靴業界で定番ブランドの位置を確固たるものとしているブランド、クロケット&ジョーンズです。多くのブランドのOEM、日本のセレクトショップの別注などを担当し、メーカーとしての歴史の長さとは裏腹に、常にトレンドをうまく取り入れるバランスなども、長くトップに君臨し続けられる理由なのでしょう。価格については、以前よりもずいぶん高くなってきているようですね。一般ラインと「ハンドグレード」と呼ばれる高級ラインがありますが、個人的にはどちらも所有した上で、このブランドで買うべきは一般ラインではないかと思います。

 今回紹介するのは、その中でブランドを代表する靴の一つである「CAVENDISH」です。一般的には、タッセルローファーと呼ばれるものですね。こちらは、もともとは比較的ノーズが長くとがり目の木型を用いているにもかかわらず、スエード素材により、ステッチなどが目立たないからか、実際よりも短靴に見えるところがお気に入りのポイントです。カジュアル靴だけに、アッパーのステッチは太めの糸で大きめのピッチ、無骨な表情を崩しません。ソールも堅牢ですが、イギリス靴に多く見られるグッドイヤー製法による「沈み」は浅目です。以前はタッセルローファーなど「どこのオジさんが履くものか」という程度の感覚でしたが、そのオジさんになって来たということでしょうか、タッセルローファーがたまらなく欲しくなってしまい、購入したものです。

 実はこの商品は、ロンドン旅行に行った際に、ノーザンプトンのファクトリーに併設されたショップで購入したリジェクト品です。(ソールの傷くらいしか目立たない美品でした)ちなみに価格は、日本の市価の1/3程度で購入することができました。その時は、直前にJohn Lobbのファクトリーショップで想定外の出費を行ったため、クロケットで買い物をするつもりはなかったのですが、欲しいモデル、革、色、サイズがドンピシャだったため、買わざるを得ませんでした。しかし実のところ、購入して以降は、週3くらい履いてしまう時もあるほどで、非常に実用性が高く、重宝している逸品です。

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by hf0424 | 2016-03-12 06:39 | Art Design Fashion
2016年 03月 07日

中国オンラインデリバリーの悲喜交々


 全てが日本のように便利にはいかない中国生活ですが、この1年くらいで急速に伸び生活の質の向上に寄与したのが、携帯電話でのオンライン決済と食事のオンラインデリバリーだと思います。中国ではもともと、外卖(ワイマイ)と呼ばれる、レストランの宅配サービスや持ち帰りサービスが盛んでしたが、百度などの大手が牽引して、オンラインデリバリーのプラットフォームが形成され、一気に普及しました。仕組みは簡単で、顧客はスマートフォンのアプリで、登録レストランのメニューを選び、オンライン決済(お店によっては、配達時の現金支払いも可能)するだけです。プラットフォーム側は、アプリの運営とともにバイク配達人を大量に雇用しており、注文が入るとレストランに配達人が商品を取りに行き、それを顧客に送り届けその配達料を徴収(顧客が負担)するというビジネスモデルです。

 こちら非常に便利で、個人的にもよく活用しています。いつもはお気に入りの中華レストランなどの注文に使っているのですが、今回は「海底捞火鍋」という、超人気の火鍋レストラン(最近、池袋に日本1号店がオープンしたそうです)のデリバリーを依頼してみました。このレストラン、行列が嫌いな中国人が行列することで有名なレストランで、行列の間にマッサージやらネイルやらを無料で施術してくれたり、サービスが良いことで有名なレストランです。その評判に違わず、デリバリーでも非常にサービス満載でした。注文していない前菜やらフルーツやらが4-5品入っていたり、食後のガムやらテイッシュ一箱、長髪の女性用に?髪を縛るゴムまで入っていました。

 気になるのは、「海底捞火鍋」はこのデリバリーアプリが普及する以前から、自分達で配送のスタッフを雇用して運営していたはずなのですが(同様に配送インフラを整えていたレストランは少なくありません)このアプリの登場により、配送インフラを独自で持ち続けるのか、それとも外部に委託する流れに変わっていくのは、少し見ものだなと思っています。これまでは配達スタッフまで抱えられなかった小さなレストランは、徒歩で行ける範囲にしか配達ができなかったわけですが、このアプリの登場により、商圏が確実に広がったはずです。それにより、儲かるお店と潰れるお店、職を失う人と儲かる人、いろいろな変化が出てくるものと思います。買うことができる商品も、青果店や薬屋まで広がっており、ECプラットフォームとの争いにまで発展していくものと思われます。

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by hf0424 | 2016-03-07 06:34 | Food Gourmet
2016年 03月 02日

中国消費者の日:番組内容と政府の思惑の相関関係

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 前回の続きで、315に取り上げられる企業や、その報道の方針について記したいと思います。前回の最後に、政治的な背景や国内産業保護の観点などが見え隠れするところがポイントだ、と書きました。例を出してみましょう。私が中国に赴任した2007年の翌年、2008年は北京オリンピックが開催され、中国が大きな注目を集めた年でした。この年の315は外資企業を叩く報道は非常に抑えたものとなりました。オリンピックを前に、中国の大気汚染やオリンピックの準備状況が世界中の報道で問題視されていた時期で、無用に外資企業を刺激して、外国のメディアの注目を集めたくなかったからだと言われました

 その翌年2009年は、どんな年だったかというと2008年末の金融危機を受け、外資企業の対中投資が下がり、中国の経済成長にも疑問視がつけられた時期でした。特に金融危機による欧米や日本の影響は強く、間接的にその影響が中国に及ぶことが危惧されていました。それゆえこの年も外資企業を叩くことはなく、曖昧でお茶を濁したような内容に驚いたものでした。さらに翌年の2010年は、上海万博が行われた年でした。世界から注目を集める年ではありましたが、金融危機の影響からいち早く脱しつつあるのが中国だけ、というような状況がありました。それに自信を深めたからか、この年はHPのパソコンや、日系韓国系の液晶テレビメーカー数社が取り上げられるなど、315の外資叩きが復活した年になりました。これ以降、毎年のように外資系企業が大きく取り上げられる状況が続いています

 では、企業にできることは何があるでしょうか。報道されることを避けることは困難なので、企業にできることは「転ばぬ先の杖」つまり、事後の対応の確認や準備ということになります。大企業の多くは、危機管理広報マニュアルなどを整備して、対応の手順や対応チーム・責任者を規定したり、突然の取材に備え、経営者のみならず工場や売り場の責任者などを含めたシミュレーショントレーニングを行ったりしています。また、最近ではウェブメディアやSNSの発達により、報道された後の対応が迅速に求められます。OA終了後と言わず、OA中から話題はネットを中心に拡散しますので、企業はHPや公式のSNSを通じて、どれだけ早くリアクションをできるか、というところも、対応の成否を分けるポイントになってきています。もちろん、実際にはすぐに回答ができないような、難しい問題を孕んでいることが多く「こうすべき」とわかっていても、その通りには出来ないものなのですが。

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by hf0424 | 2016-03-02 06:09 | Work