酔いどれ広報マン中国をゆく

drunkencn.exblog.jp
ブログトップ
2016年 05月 08日

ジョンロブのシームレスヒール

f0147301_15462911.jpg
 「シームレスヒール」という言葉を聞いても何のことだかわからない方もいれば、そのディテールに喜んで数万円も支払うバカもいます。はい、そのバカは私です。週末ということで、またもヲタ話で失礼します。シームレスヒール、それは読んでそのままの意味「つなぎ目の無い踵」を指しております。靴の製法上、この部分には革と革を縫い合わせたり、革を摘んで縫い合わせたりといった形で、継ぎ目が入ることが一般的です。さらに大量生産の靴では、踵の上部に糸を通したような目立たない穴が空いていることもあります。「それが何か?」と言われれば、それは全く問題ではありませんし、安価に良い靴を生産するための企業努力であるとも言えるのかもしれません。しかし、世の中にはこの部分に継ぎ目のない靴が存在し、それにお金を払うバカがいます。もう一度申し上げますが、それは私です。

 シームレスヒールは、ビスポークシューズ(誂え靴)の代表的なディテールですが、それが多く市場に出回ったのは、おそらくはジョンロブ(John Robb)の既成靴が牽引役になったのではないでしょうか?私もこのディテールを知ったのは、ジョンロブの名作PhilipⅡを雑誌で見たのが最初です。雑誌にはおそらく「踵を包み込むようにホールドする」などと宣伝文句が並んでいたものと思いますが、まあ既製品レベルではあまり関係ないでしょう。それよりもやはりシームレスヒールの魅力はとにかく「美しさ」それに尽きます。シームレスヒールにより履き心地が云々... などというのは、その後の話です。主従が逆です。シームレスヒールは、機械での吊り込みでは実現できないディテールのため、職人の熟練と手間がかかり、それゆえ非常にその靴は高額になります。

 しかしながら、私は10年以上前にシームレスヒールの靴を入手していました。もちろん、当時の私には(そして今も)ジョンロブの靴は高嶺の花ですから、購入はできませんでした。私が購入したのは、BONORA(ボノーラ)というイタリアの小規模なブランドの靴でした。今では倒産してしまったと聞いています。このブランドの靴を入手したのには理由があって、実はジョンロブのプレステージラインのOEMを手がけていた時期があり、ジョンロブにシームレスヒールの製法を指導したのがBONORAだ、と言われていたからです。事実、ロブのラスト番号と共通のラストがBONORAにはありました。それでいて、価格はジョンロブの半額でした。さらに、BONORAは倒産する前、東欧の工場にOEM生産を発注するようになったそうですが、そのOEM先がサンクリスピン(Saint Clispin)だったと言われています。サンクリスピンは今でも人気のメーカーですが、確かに彼らの靴にも、シームレスヒールを採用した靴が多くあり、BONORAの残り香を感じます。

[PR]

by hf0424 | 2016-05-08 15:25 | Art Design Fashion


<< 網紅(ワンホン)の人気      中国における広報活動の必要性 >>