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酔いどれ広報マン中国をゆく

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2016年 03月 02日

中国消費者の日:番組内容と政府の思惑の相関関係

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 前回の続きで、315に取り上げられる企業や、その報道の方針について記したいと思います。前回の最後に、政治的な背景や国内産業保護の観点などが見え隠れするところがポイントだ、と書きました。例を出してみましょう。私が中国に赴任した2007年の翌年、2008年は北京オリンピックが開催され、中国が大きな注目を集めた年でした。この年の315は外資企業を叩く報道は非常に抑えたものとなりました。オリンピックを前に、中国の大気汚染やオリンピックの準備状況が世界中の報道で問題視されていた時期で、無用に外資企業を刺激して、外国のメディアの注目を集めたくなかったからだと言われました

 その翌年2009年は、どんな年だったかというと2008年末の金融危機を受け、外資企業の対中投資が下がり、中国の経済成長にも疑問視がつけられた時期でした。特に金融危機による欧米や日本の影響は強く、間接的にその影響が中国に及ぶことが危惧されていました。それゆえこの年も外資企業を叩くことはなく、曖昧でお茶を濁したような内容に驚いたものでした。さらに翌年の2010年は、上海万博が行われた年でした。世界から注目を集める年ではありましたが、金融危機の影響からいち早く脱しつつあるのが中国だけ、というような状況がありました。それに自信を深めたからか、この年はHPのパソコンや、日系韓国系の液晶テレビメーカー数社が取り上げられるなど、315の外資叩きが復活した年になりました。これ以降、毎年のように外資系企業が大きく取り上げられる状況が続いています

 では、企業にできることは何があるでしょうか。報道されることを避けることは困難なので、企業にできることは「転ばぬ先の杖」つまり、事後の対応の確認や準備ということになります。大企業の多くは、危機管理広報マニュアルなどを整備して、対応の手順や対応チーム・責任者を規定したり、突然の取材に備え、経営者のみならず工場や売り場の責任者などを含めたシミュレーショントレーニングを行ったりしています。また、最近ではウェブメディアやSNSの発達により、報道された後の対応が迅速に求められます。OA終了後と言わず、OA中から話題はネットを中心に拡散しますので、企業はHPや公式のSNSを通じて、どれだけ早くリアクションをできるか、というところも、対応の成否を分けるポイントになってきています。もちろん、実際にはすぐに回答ができないような、難しい問題を孕んでいることが多く「こうすべき」とわかっていても、その通りには出来ないものなのですが。


by hf0424 | 2016-03-02 06:09 | Work


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