2016年 02月 29日
無視ができない理由は、まだあります。315の報道はCCTVの番組だけではないからです。毎年3月1日にCCTVが「315晩会」のテーマを発表する前後から、新聞やウェブのニュース媒体が、こぞって315特集を組み始めます。さながら「今年はあそこが槍玉にあげられるぞ」と言った体の予想屋を彷彿とさせます。そういったメディアが厄介なのは、そういった記事が出る前に企業に連絡してきて「ウチの新聞が、御社を315特集で取り上げようとしている。しかし今、広告を出稿してくれれば、止めることができる」などとタカリのような電話を寄越してくるのです。影響力のないようなレベルの低いメディアかといえば、結構権威のあるメディアまでそんなことをやっていたりして驚きます。権威のあるメディアの場合は、もっと意味深で「御社は今年CCTVの315晩会に出る可能性が高いが、私に任せてくれれば止めることができる」などと連絡がある場合もあるそうです。こういった手のものは、基本的には断ることになるのですが、断り方も難しいところがまたポイントです。 CCTVの番組の話に戻りましょう。番組は、大きくは3つほどの特集(対象となる企業などに、隠し撮りや潜入取材などを行ったVTRで構成)と、4-5件ほどの小さいトピックで全体を構成しています。特に冒頭の特集に取り上げられると、ダメージが大きいとされています。この5年くらいでは、日系企業では14年に取り上げられたニコンの印象が強いですが、13年にはアップルやフォルクスワーゲン、12年にはマクドナルドやカルフールなどが取り上げられています。ここで取り上げられる企業については、もちろん、本当に不当に消費者の権利を侵害している場合もありますが、少しこじつけに近いこともままあります。むしろそれよりも、政治的な背景や国内産業保護の観点などが見え隠れするところがポイントす。事実上、取り上げられるリスクを回避する方法は、実際のところは無いというのが現状です。
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by hf0424
| 2016-02-29 06:02
| Media
2016年 02月 26日
推察するに、このパッケージの変化は、ここ数年で話題になっているメリーズの好調が背景にあるのではないかと思います。実は日本と香港ではメディアで「爆買い」と騒がれる前から、紙おむつと粉ミルクの爆買いが始まっており、その最たるものとして花王のメリーズが人気を集めていました。なぜ数ある商品の中から、花王のメリーズが選ばれたのかという疑問については、やはり日本を代表する生活消費財メーカーとして有名だったから、中国における社名の知名度が重要な要因だったと言われています。このことについては、必ずしも狙ってそうしたわけではなかったのではないかと想像されますが、その後の対応については、意図的にブランドの優位性を、企業全体の普遍的な価値に転換する工夫がなされていたように感じています。 実は、中国ではネットの口コミを中心に、日本で購入するメリーズや輸入版のメリーズを総称して「日本花王」と呼ばれています。なんと「メリーズ」という製品のことを「日本花王」と呼んでいるのです。メリーズは中国語で「妙而舒」という現地名称を持っているのですが、もはやその名では呼ばれない、ある種困った状況が存在しています。しかし「花王」の名はこれにより、確実にその価値や信頼性を高めることとなりました。その状況をうまく逆手にとって、メリーズで得たアドバンテージを、花王というマスターブランドに集約し、全てのブランドに還元することに成功していると考えられます。これは、企業PR一つとっても、その国の消費者事情や時流の流れによって、変化をしていくべきものだという、好例だと思います。
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by hf0424
| 2016-02-26 06:17
| Work
2016年 02月 24日
結論を先にしますと、中国においては、他国(特に先進国)での展開に比べて、製品ブランドだけではなく企業ブランドの浸透にも力を入れるべきだと考えています。背景として、中国はこの10年余りで急激な経済成長を遂げました。可処分所得が急激に増え、資産価値が急激に増大する一方で、審美眼の成長はそのスピードに伴うものではありませんでした。中国でのブランドネーミングに関する投稿でも言及しましたが、お金持ちが必ずしも学があるわけでもありません。そこにさらに、中国人の性悪説がベースとなった考え方が重なると「お金は持っているものの、何を買ったら良いのかわからない(騙されたくない)」という考えにたどり着きます。それゆえ、中国人の購買行動への影響度を調査すると「家族・友人の推薦」が必ずナンバーワンになるのです。さらにネット上の口コミあたりが続いた後、出てくるのは「企業への信頼度」なのです。 「あの企業なら安心だ」「名の知れた大きな会社が、短期的な利益のために騙すことはない」と考えるため、自分が価値判断を下せない場合に、企業の知名度で購入判断を行うことが多いのです。(少し話が逸れますが、この時「値段が高いものの方が、より良いものだ」という考え方をすることも多いことは注意すべきポイントです)それゆえ、中国においては、日本ではあまり企業名を表に出していないような企業が、社名を前に出していることも少なくありません。これらにはやはり理由があり、中国人の消費インサイトに基づいた結果なのだと考えています。
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by hf0424
| 2016-02-24 06:26
| Work
2016年 02月 22日
中国人の一大イベント「春節」が終わりましたが、今後もしばらくインバウンド熱はまだ冷めないでしょう。毎年2月前後の春節と10月の国慶節が、中国人観光客のピークと考えてしまいがちなのですが、実際の渡航者推移を見ると、実は春節よりも気候の良い3月や4月の春先、さらには夏休みとなる7月や8月にピークを迎える(春節時期の約1.5倍程度の観光客数)ことがわかります。祝日の長期休暇ということで、春節と国慶節がハイライトされがちですが、実はそれに関係なくずっと中国人観光客は多い、というのが実情です。おそらく「銀座にいつも中国人がいっぱい」という一般の方々の肌感覚の方が、中国関連のマーケターの感覚よりも正しいかもしれません。 さて、中国への帰国がてら、成田空港で銀座三越の市中免税店の引渡しコーナーを見てきました。まだまだスタートだから、ということもあるかもしれませんし、立ち寄った時間の問題もあったかもしれませんが、ガラガラでした。韓国やハワイのそれと比べると、やはりまだまだ寂しいですね。これからに期待です。同時に、空港内の免税店に目をやれば、やはりどこも大行列。「じゃがボックル」と「白い恋人」は、店舗の前に補充用の商品がダンボールで置かれているという臨戦態勢でした。銀座三越の市中免税店は、百貨店という建前もあるとは思いますが、もう少しバラマキ用のニーズを満たす商品ラインナップをすると良いと思います。「市内で買い物して、空港まで運んでもらえる」という最大の差別化ポイントを理解し、観光客の利便性を高めることが、何よりの成功の近道だと思います。 また、毎年春節の後になると、決まって出てくるのは「海外での売上を増やしたい」というご依頼です。自社の商品が中国人観光客にウケが良いのに気を良くして、経営者自らトップダウンで担当者に指示を出す、ということが増えるのもこの時期です。こちらについては、我々にとってはとてもありがたい話ですし、私の意図している考えと近いものがあります。インバウンドは「きっかけ」であるべきで、長期の成功はやはり「現地で売れる」ことが重要だという考えです。インバウンド需要はまだまだスタートしたばかりで、まだまだ変化が大きいはずです。為替が逆ブレした後、そして受け入れ側がサービス向上でその影響をどこまで自助努力で解決できるか、問題は山積みです。インバウンドで得た利益を、しっかり長期的な稼ぎ口の開発にシフトすることが求められます。
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by hf0424
| 2016-02-22 06:43
| Work
2016年 02月 15日
大手ウェブメディアの影響力の強さが顕著に表れる場面は、国家主席や閣僚が登場する会見などに見られます。日本ではそもそも「記者クラブ」制度により、大手メディアしか政府や省庁が行う重要な会見に参加することができません。一方で中国では、ウェブメディアにもそういった公式な重要な会見に参加の招待が届きますし、その席上で質疑応答の時間に当てられる事もあるそうです。もちろん、政府はたまたま当てているわけではなく、ウェブニュースが重要だから選んで当てられているのです。ただし、ウェブメディアがウェブそのものの歴史を超えることはありませんから、大きいメディアでもまだ10年ほどしか経っていないワケで、最も未成熟なメディアであることも事実です。PVを上げるための記事の量産はノルマ化しており、他メディアの転載や、裏を取らずに飛ばし記事を出すことも多いです。ただし、その影響力はスマホの登場により、さらに飛躍して影響力を高めています。 また、ウェブメディアへのPRにおいては、クラシックなメディアリレーションの方法で、記者と地道に関係を築くことが求められます。ウェブPRは、新聞に記事を獲得するよりはハードルが低く、新聞よりも分散が進んでいないため、ターゲットが絞りやすい利点もあります。(当然、業種別の専門メディアの分散は、新聞もウェブもいずれもあるものの、新聞は全国地方別に分散が激しくフォローが大変)中国のメディアは数も多いため、効率的なPRを行うことが求められますが、その点でもウェブメディアとの関係作りは、効果効率が高いものと考えられます。 #
by hf0424
| 2016-02-15 06:11
| Media
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北京での日々をつづります。なお、当ブログに記載される内容は、所属する会社を代表するものではありません。Author: 舟橋 宏人 Hiroto Funahashi by hf0424 カレンダー
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