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酔いどれ広報マン中国をゆく

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2016年 08月 15日

越境ECの隆盛

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 報道でもすでに中国人の「爆買い」終焉か、などと記事が出ていることもあって、一時の熱狂が醒めやらぬ小売店などは、すでに次のターゲットを見据えています。(ただし、中国人の国外消費性向が低くなった訳ではなく、新たな関税の規制対象となる、高額嗜好品の販売が激減し、消費の対象は「体験」へとシフトしつつあるようです)そして、そんな次のターゲットの1つが「越境EC」ということになると思います。すでに、弊社への問い合わせでも、「越境EC」関連のクライアントの数が目立つようになってきました。

 事実「爆買い」なるキーワードが世間を賑わせていた時から、「越境EC」という新たなプラットフォームは動きを見せていました。昨年には京東(JD.com)が日本進出をしましたし、さらにアリババが日本に進出したのは5年くらい前でした。アリババは当初、淘日本というYahoo! Shopping のプラットフォームを使った越境プラットフォームを始めたり、日本企業のECによる中国進出のコンサルなども行っていました。しかしあの時は、尖閣問題と東日本大震災の影響で、インバウンド・アウトバウンドビジネスは逆風の時期でした。その後、日中関係改善、円安などが追い風となって、今花開いたという感じなのですが。

 一方で、越境云々の話とは別に、中国には毎年「独身節(11月11日)」なるECのお祭りのような日があるのですが、この日1日のアリババの売上が(2015年当時のレートで)1兆7000億円に上ったというエピソードに表されるように、中国での小売業界ではECが鬼のような勢いで影響力を高めています。我々の業界としても、もちろん無視できるものではなく、端的に言えば、クライアントが広告よりもECプラットフォームに予算を注ぎ込むようになってきました。過去で言えば、プロモーション予算と呼ばれ、小売店の店頭対策に使われた予算の考え方ですが、そこにマス広告並みの予算を使う... 使わざるをえなくなっています。我々としても看過できるものではなく、ECに対する解をしっかり出さなくてはいけないと、幾つかのトライを行っています。ネット上のインフルエンサーの活用、リアルとの連動。文字にしてみると、途端に陳腐化してしまうように感じますが、細かく丁寧に改善運用し、しっかりと効果を検証しています。


# by hf0424 | 2016-08-15 07:18 | Work
2016年 08月 14日

前進?

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 去年末くらいから今年にかけて、もやもやとしていたことがあって、それに最近なんとなく解が見つかったような気がしている。(まだ、気がしている、程度なのだけど。)随分前進した感があります。進むべき道が整理されれば、あとは突っ走るだけ。中国生活も10年目。40歳まではあと3年あまり。器用にもなったし、出来ることも増えたけど、今は20代後半から30歳くらいに貯めた「貯金を」食い潰している感じ。充実した豊かな40代を迎えるために、そろそろまたしっかり「貯金」をしなくては。

 本文と全く関係ありませんが、写真はRosewood Hotel Beijingの朝食のエッグベネディクト。ブッフェ形式ながら、その場で仕上げてくれる卵料理の中に、ひっそりリストされています。あまり茹で卵が得意ではないので積極的に選ばないメニューですが、ここのは別格。ポーチドエッグの半熟さ加減とオランデーズソースの加減、下のパンのセレクトまで、素晴らしいです。


# by hf0424 | 2016-08-14 17:36 | Work
2016年 05月 10日

網紅(ワンホン)の人気

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 正確にいつからと言われると分かりませんが、個人的には昨年から「網紅(ワンホン)」という言葉を多く見かけるようになりました。ここ最近では、仕事でも関わりを持つようになり、現在の大きなトレンドになっています。「網紅(ワンホン)」とは「網=インターネット」「紅=有名人」という言葉の掛け合わせで、ネット上の有名人/KOLやネットアイドルのような意味を指しますが、ネットと言っても、彼らの主戦場が「ネット動画」であるということがひとつのポイントです。これまでにも、古くからKOL(Key Opinion Leader)はその筋の有名人、として存在しましたし、SNSが流行ってきてからは、まずは微博(ウェイボー、中国版Twitter)上でのKOLを「紅人(ホンレン)」と呼んで、企業ももてはやしました。微信(ウェイシン、中国版LINE)が流行ってからは、公衆号というメディアIDが流行るようになりました。そしてここに来て流行ったのが、この「網紅(ワンホン)」です。

 一部のニュースでは、ファンドが網紅に数億円規模の出資を行ったというニュースや、その広告枠に数億円の値がついた、とまで報道されているほどで、ますますブームは過熱の様相を呈しています。しかし、日本ではUSTREAMやニコニコ動画などのサービスでライブストリーミングが流行ったのがもう数年前なので、中国でのブームは少し遅い感もあります。また、10年前には「アメリカや日本で流行ったネットサービスが、数年遅れで中国で流行る」と言われていました。しかし、今回も同じ文脈で考えると、網紅についてはそうではない気がしています。すでに、中国のネットサービスは独自の進化をして、日本やアメリカよりも局地的に進んでいることすらあります。私の中では、いろいろな環境が今のタイミングで合致して流行っているように感じています。

 まず、このトレンドを作り出した紅網本人に注目してみると、彼らはやはり素人であり、動画の専門家であることは少ないため、現在のスマホの動画撮影の品質向上と視聴環境の向上は、このブームの絶対的な前提条件です。その上に、やはり彼らが稼げるか、というところが大きなポイントになります。PVをマネタイズすることももちろんですが、多くの企業がこの分野に注目して、メディアとして、コンテンツメーカーとして、網紅に投資していることも重要なポイントだと思います。中国ではもともと、この手の広義のKOLに支払われる企業のマーケティング予算が、とても多いです。それは、KOLを専門家としてのエンドースメント力を重視しているのではなく、あくまでもメディアとして機能しているからでしょう。ただし、この手の人たちは素人ですし、たとえ網紅ビジネスがプロダクション化していても、なかなかコントロールがしにくいこともポイントです。それゆえトラブルは後を絶ちませんが、企業はその注目度と影響力ゆえに、なんとかして活用したいというのが現状です。


# by hf0424 | 2016-05-10 06:42 | Media
2016年 05月 08日

ジョンロブのシームレスヒール

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 「シームレスヒール」という言葉を聞いても何のことだかわからない方もいれば、そのディテールに喜んで数万円も支払うバカもいます。はい、そのバカは私です。週末ということで、またもヲタ話で失礼します。シームレスヒール、それは読んでそのままの意味「つなぎ目の無い踵」を指しております。靴の製法上、この部分には革と革を縫い合わせたり、革を摘んで縫い合わせたりといった形で、継ぎ目が入ることが一般的です。さらに大量生産の靴では、踵の上部に糸を通したような目立たない穴が空いていることもあります。「それが何か?」と言われれば、それは全く問題ではありませんし、安価に良い靴を生産するための企業努力であるとも言えるのかもしれません。しかし、世の中にはこの部分に継ぎ目のない靴が存在し、それにお金を払うバカがいます。もう一度申し上げますが、それは私です。

 シームレスヒールは、ビスポークシューズ(誂え靴)の代表的なディテールですが、それが多く市場に出回ったのは、おそらくはジョンロブ(John Robb)の既成靴が牽引役になったのではないでしょうか?私もこのディテールを知ったのは、ジョンロブの名作PhilipⅡを雑誌で見たのが最初です。雑誌にはおそらく「踵を包み込むようにホールドする」などと宣伝文句が並んでいたものと思いますが、まあ既製品レベルではあまり関係ないでしょう。それよりもやはりシームレスヒールの魅力はとにかく「美しさ」それに尽きます。シームレスヒールにより履き心地が云々... などというのは、その後の話です。主従が逆です。シームレスヒールは、機械での吊り込みでは実現できないディテールのため、職人の熟練と手間がかかり、それゆえ非常にその靴は高額になります。

 しかしながら、私は10年以上前にシームレスヒールの靴を入手していました。もちろん、当時の私には(そして今も)ジョンロブの靴は高嶺の花ですから、購入はできませんでした。私が購入したのは、BONORA(ボノーラ)というイタリアの小規模なブランドの靴でした。今では倒産してしまったと聞いています。このブランドの靴を入手したのには理由があって、実はジョンロブのプレステージラインのOEMを手がけていた時期があり、ジョンロブにシームレスヒールの製法を指導したのがBONORAだ、と言われていたからです。事実、ロブのラスト番号と共通のラストがBONORAにはありました。それでいて、価格はジョンロブの半額でした。さらに、BONORAは倒産する前、東欧の工場にOEM生産を発注するようになったそうですが、そのOEM先がサンクリスピン(Saint Clispin)だったと言われています。サンクリスピンは今でも人気のメーカーですが、確かに彼らの靴にも、シームレスヒールを採用した靴が多くあり、BONORAの残り香を感じます。


# by hf0424 | 2016-05-08 15:25 | Art Design Fashion
2016年 04月 11日

中国における広報活動の必要性

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 4月になり、日本企業の多くが新年度を迎えました。例年この時期は、は企業派遣の海外駐在員の方々の出入りが多い時期でもあります。またこの時期、クライアント企業からよくある依頼が、新任者向けに、中国事情やメディア環境、中国での広報の必要性についてブリーフをして欲しいという依頼です。さらに得てして多いのは、そのブリーフ対象者が比較的高い職位にあり、場合によっては広報や宣伝等の業務の経験がないというパターンです。正直なところ、中国事情やメディア環境などについては、こちらにも情報の蓄積がありますので簡単な話なのですが、問題は「中国における広報活動の必要性」というお題目です。これは基礎的な話のようで、非常に難しい問題だと、年を追うごとにその思いを強めています。

 まずクライアント企業の依頼主及びブリーフ対象者が、マーケティング担当者なのか、広報担当者なのか(もしくは経営層なのか)によって、お話すべき内容には大きな違いがあります。言い換えれば、広報・PRという手段を、何の目的に使おうとしているのかという問題に直結するのですが、やはりその違いは手段自体の違いを生みます。また必要性の話とは対極的に、そもそも中国にはジャーナリズムが無いので、メディアにはお金を払って記事を書いて貰えばそれで良く、メディアと関係づくりをする必要があるのか、という見方をされる方もいらっしゃいます。いずれにせよ、広報活動の必要性はなかなか伝えにくい部分があります。

 企業広報担当者からの依頼の場合、ひとつのポイントは「危機管理」という側面からのインプットは効果的です。メディアとの関係づくりは「転ばぬ先の杖」であるという視点は、比較的納得感を持って必要性を認識頂けることが多いように思います。特に経営層の方々にその傾向が高いです。一方で、マーケティング担当者へのブリーフィングは非常に難しくなります。このところは、マーケティングの目的が、長期的なブランディングよりも短期的な販売促進にシフトしてきており、さらに広告とPRの垣根がなくなっている中で、広報活動の必要性の説明は難しいです。対象者の業務の目的を丁寧にヒアリングしながら、その視線を合わせてお話を組み立てることが重要になります。クライアントの業種を意識した上で、消費者のインサイトや、費用的な効果効率、影響力の波及の仕組みなど、様々な視点の組み合わせで説明することが必要となります。


# by hf0424 | 2016-04-11 06:53 | Work